【世界一周への第一歩】ワンワールド特典航空券・ルート作成の戦略

マイル・特典航空券戦略

こんにちは。東京大学で博士を取得し、クレジットカードの使い方を研究しているクレカゼミナールのゼミ長です。これから数回にわたって私が特典航空券を使ってビジネスクラスで世界一周を実現した秘訣についてお伝えしたいと思います。まず第1回目はルートの選定です。

「いつかビジネスクラスで世界一周をしたい」という目標を掲げ、一生懸命JALマイルを貯めてきた方も多いのではないでしょうか。しかし、いざ予約となると、ロンドンやニューヨークといった主要都市を結ぶ王道の直行便は全く空席が見つからず、予約画面の前で途方に暮れてしまうことも少なくありません。

せっかく貯めたマイルを、日程の都合で妥協して消化してしまったり、予約そのものを諦めたりするのは、大きな機会損失につながります。そこで鍵となるのが、JALのワンワールド特典航空券を活用し、あえてハブ空港を経由する「迂回ルート」を構築することです。このルート戦略をとることで、ビジネスクラスの座席を確保しやすくなるだけでなく、一度の旅行で複数の魅力的な都市を周遊する、まさに「世界一周」の醍醐味を味わえる合理的な選択肢が見えてきます。

💡 結論・サマリ

この記事では、データと実体験に基づき以下の3つのポイントについて解説します。

  • 【分析編】ビジネスクラスの費用対効果と、直行便ルートが抱える予約の壁
  • 【基本編】ハブ空港を経由して選択肢を広げる、ルート構築の基礎知識
  • 【実践編】20,000マイル以内で構築する「迂回・周遊」の3つの実例ルート

【分析編】ビジネスクラスの費用対効果と、直行便ルートが抱える予約の壁

長距離路線は「ビジネスクラス」が費用対効果に優れる理由

総旅程距離に基づく特典航空券(例えば、総旅程距離14,001〜20,000マイルの枠組み)を利用する場合、ビジネスクラスで発券した際の費用対効果が非常に大きくなります。

飛行距離が20000マイルに近づけば近づくほどお得になる!(引用元: ワンワールド特典航空券 マイル早見表 – JALマイレージバンク)

なぜなら、必要マイル数の増加率に対して、実際の有償航空券の価格上昇率がはるかに大きいためです。総旅程距離20,000マイル以下の区分において、エコノミークラスとビジネスクラスの必要マイル数および有償価格の期待値を比較すると、以下のようになります。

クラス20,000マイル以下の必要マイル数有償航空券の想定価格帯(目安)1マイルあたりの価値(ROI)
エコノミークラス90,000マイル約30万〜50万円約3.3〜5.5円
ビジネスクラス120,000マイル約100万〜150万円以上約8.3〜12.5円以上

そもそも、どの用に普通のサラリーマンであるゼミ長がどうやって効率的にマイルを貯めることができたのか知りたい方は次の記事を参考にしてください。JALカードを効率的に使うことでポイ活などをすることなく、ビジネスクラスでの世界一周旅行に必要なマイルを獲得できました。

人気のロンドン・パリ直行便ビジネスが取りにくい構造的背景

しかし、いざビジネスクラスを予約しようとしても、JALが運航するロンドン(LHR)やパリ(CDG)への直行便は、特典航空券での確保が極めて困難な路線として知られています。

これらの都市は世界の金融および観光の主要なハブであり、有償のビジネス客や高単価の旅行者による需要が年間を通じて高く維持されています。そのため、航空会社の収益管理の観点から、マイルで引き換え可能な特典枠は最小限に制限されているのが実情です。

特典航空券の座席は、各航空会社が定める予約開始日に順次解放されていきます。この「いつ枠が空くのか」という各社の解放ルールの詳細や、確実に予約を勝ち取るためのテクニックについては、次回(第2回)の記事で詳しく解説します。ただ、どれほどタイミングを熟知していても、日本からロンドン(LHR)やパリ(CDG)へ向かう直行便のような超人気路線を狙うのは、依然としてハードルが高いのが現実です。そのため、あえて最初からこれらの直行便を避け、ルート上の選択肢が多い経路を選ぶことが、予約を成功させるための重要なポイントとなります。

⚠ 注意点

直行便への固執が引き起こすマイル価値低下のリスク
直行便に固執すると、結果的にビジネスクラスの予約が取れず、せっかく貯めたマイルを最大限に有効活用できなくなる懸念があります。

検索や日程調整に多大な時間を費やした結果、「時間をかけたのだから、空いているプレミアムエコノミーでもいいか」と、本来の「ビジネスクラスで世界一周」という目的から外れた選択をしてしまう心理も働きやすくなります。快適な世界一周を実現するためには、目的を見失わず、ルートに対して柔軟な視点を持つことが重要です。

【基本編】ハブ空港を経由して選択肢を広げる、ルート構築の基礎知識

利用可能な都市は「加盟航空会社」のネットワークで決まる

特典航空券で構築できるルートは、ワンワールド加盟航空会社が就航している都市に依存します。

マイルを利用した航空券の発券は、アライアンス(航空連合)というネットワークの提携枠組みの中で処理されます。JALのワンワールド特典航空券では、IATA(国際航空運送協会)が定めるTPM(Ticketed Point Mileage:都市間の大圏距離)の合計によって必要マイル数が算出されます。

JALの自社便による直行便だけに限定するのではなく、キャセイパシフィック航空やフィンエアーなど、日本に就航している他のワンワールド加盟航空会社を起点として捉えることで、行き先の選択肢が大きく広がります。

ルート構築の第1ステップ:「ハブ経由アプローチ」で選択肢を広げる

目的地への直行便がない、あるいは予約の枠が空いていない場合は、加盟航空会社の拠点(ハブ空港)を経由することが基本的なアプローチです。

航空会社の路線ネットワークは、主要な拠点空港から各地へ放射状に路線を伸ばす「ハブ&スポーク型」の構造を持っています。そのため、「日本からワンワールドのハブ空港へ飛ぶ → ワンワールドの飛行機で目的地の空港に移動する → 再びワンワールドの飛行機で別のハブ空港へ飛ぶ」という経路を取れば、ワンワールド特典航空券の経路をつなぎやすくなります。

制限枠「最大8区間」を活用し「経由」を「周遊」に変える思考法

さらに、ワンワールド特典航空券のルール枠組みを利用し、経由地を新たな訪問都市として組み込むアプローチも有効です。

📝 補足

この航空券は「全旅程で最大8区間(地上移動を除く)」かつ「途中降機(24時間以上の滞在)が最大7回まで」許可されています。各区間のTPMの合計が20,000マイル以内であれば、複数回の乗り継ぎや滞在を行っても追加のマイルは発生しません。

乗り継ぎの待ち時間を単なる「待機」と捉えるのではなく、1日〜2日滞在する「小旅行」として旅程に組み込んでみてはいかがでしょうか。そうすることで、1回の旅行で得られる経験値を大きく広げることができます。

【実践編】20,000マイル以内で構築する「迂回・周遊」の3つの実例ルート

推奨ルート①:キャセイパシフィック航空を活用した香港経由の南欧〜北米ルート

東京(TYO)→香港(HKG)→マドリード(MAD)→ロンドン(LHR)→ニューヨーク(JFK)→東京(TYO)というルートは、非常に合理的な選択肢です。

各区間のTPMを合算すると総距離は約19,300マイル前後となり、20,000マイルの上限にしっかりと収まります。キャセイパシフィック航空の香港〜マドリード直行便を利用することで、高額な航空旅客税(APD)がかかるロンドン(LHR)への長距離便での直接入国を避け、シェンゲン圏から短距離便でアプローチすることで諸費用を抑える効果も期待できます。

香港国際空港での上質なラウンジ体験を経てからヨーロッパへ向かう旅程は、長時間の移動そのものを一つの楽しみへと昇華させてくれますし、香港市内の飲食店で飲茶を楽しむのも良いかもしれませんね。

推奨ルート②:アラスカ航空・アメリカン航空を活用した北米ハブ迂回ルート

東京(TYO)→シアトル(SEA)→フェニックス(PHX)→ロンドン(LHR)→ヘルシンキ(HEL)→東京(TYO)という、あえて北米を経由するルートも有力な候補です。

総距離は約17,100マイル台となり、距離制限に対して約2,800マイルの余裕があります。ニューヨークやシカゴといった競争の激しい東海岸の主要ハブを避け、フェニックス(PHX)からロンドンへ向かう直行便(アメリカン航空またはブリティッシュ・エアウェイズ運航)を活用することで、予約を確保しやすい傾向にあります。

例えば、フェニックスで数日間途中降機し、グランドキャニオンなどの国立公園へ足を延ばすといった、北米の広大な自然を経由地として組み込むような柔軟な旅程構築が可能です。

ゼミ長の実際のルート:欧州内オープンジョーを含む7区間の世界一周旅行

私が過去に発券し、実際に搭乗したルートは、欧州内でオープンジョー(到着地と出発地が異なる旅程)を組み込んだ合計7区間の構成です。

ルートの全貌:TYO→HEL→VIE / VIE→MAD→ORY / CDG→LHR / LHR→JFK / JFK→TYO

フライト区間数は「合計7区間」となり、ルールの最大8区間という制限内に収まっています。また、IATA TPMの合算値も20,000マイル以内に設計されています。パリでの滞在期間中は、到着空港(オルリー空港)から出発空港(シャルル・ド・ゴール空港)までの間を地上移動として扱っています(地上移動は全旅程で1回のみ許可され、1回の途中降機としてカウントされます)。

ウィーン(VIE)からパリ(ORY/CDG)への移動において、あえてマドリード(MAD)を経由したのは、アライアンスの就航ネットワーク上の制約をクリアするためです。ウィーンからパリへの直行便には、純粋なワンワールド加盟航空会社の自社運航便が存在しません。そこで、イベリア航空のハブであるマドリードを経由し、すべて自社運航便として発券することで、特典航空券の枠を利用できる可能性を高めました。また、日本からの出発時もフィンエアーでヘルシンキ(HEL)を経由することで、直行便の激しい枠の争奪を回避しました。

最適なターゲット

  • このルート構築術に向いている方
    • 1回の旅行で複数の国や都市を周遊し、世界一周の醍醐味や多様な文化に触れたい方
    • 日程にある程度の柔軟性があり、経由地での滞在(ストップオーバー)を楽しめる方
    • ビジネスクラスでの快適な長距離移動に価値を見出し、マイルの費用対効果を高めたい方
  • このルート構築術に向いていない方
    • 休暇日数が厳密に制限されており、最短時間での移動を優先する方
    • 乗り継ぎの手間や、異なる航空会社の利用に強い負担を感じる方
    • 特定の1都市だけでの長期滞在を主目的としている方

ルートを決めたら実際に予約をしてみましょう!ビジネスクラスの予約争奪戦に確実に勝つ方法は第2回にて解説しています!

また、JALマイル攻略の全体像や、他の最適化手法については是非こちらのロードマップをご覧ください!

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