【SFCを維持するか?しないのか?】ANAカードとマリオットボンボイプレミアムカードの徹底比較:年間決済額の分岐点

クレジットカード解説

こんにちは。東京大学で博士を取得し、クレジットカードの使い方を研究しているクレカゼミナールのゼミ長です。

せっかく取得したSFC(スーパーフライヤーズカード)ですが、今回の大きな制度変更により「毎年300万円を決済してまでSFC ELITE特典を維持する価値は本当にあるのだろうか?」と悩んでいませんか?

年間決済額300万円から400万円の層において、マリオットボンボイアメックスプレミアムカード(以下、マリオットプレミアム)をメインにするか、ANAカードに集中させるか。これは獲得マイルや付帯特典の観点から、非常に悩ましい分岐点です。データから紐解いていくと、年間決済額が400万円未満であればANAカードへの集中が合理的であり、マリオットプレミアムの真価が発揮されるのは、決済額が確実に400万円を超えるケースに限られてきます。

この記事では、データと実体験に基づき以下の3つのポイントについて解説します。

💡 結論・サマリ

  • 年間決済額300万円における獲得マイルの均衡点(両カードとも35,000マイル)の仕組み
  • 決済額300万円〜400万円未満における、マリオットプレミアムの構造的な機会損失
  • 年会費を考慮した、ANAラウンジとマリオット無料宿泊特典の純利益比較

年間決済額300万円の壁。SFC ELITE特典の維持に必要なコストと価値

ANAのステータス保有者にとって、年間300万円という決済額は、SFC ELITE特典(ラウンジ利用やスターアライアンス・ゴールド資格)を維持するための重要な基準値になりますが、皆さんはこの数字をどう捉えていますでしょうか。

今後のSFC制度においては、ANAカード(およびANA Pay等)での年間決済額が300万円に満たない場合、ラウンジ利用ができなくなり、スターアライアンスの資格もシルバーに降格する「SFC LITE」への移行が予定されています。国際線でのANAラウンジ利用や、海外空港での提携ラウンジ利用、優先手荷物返却といった物理的なメリットを維持するためには、他社カードへ決済を分散させず、ANAカードで年間300万円をクリアすることが前提となります。

ANAスーパーフライヤーズカードの制度変更(2028年度)|ANAマイレージクラブ
【ANA公式サイト】2028年4月よりANAスーパーフライヤーズカード(SFC)の制度が新しくなります。変更となる特典内容や新基準のスケジュール、そしてこれからSFCを目指す方への入会条件、旅をアップグレードする魅力をご案内します。

300万円決済時の獲得マイルは両カードとも「35,000マイル」に均衡する

マリオットプレミアムは「マイル還元率最大1.25%」という数字がよく注目されますが、実際の獲得状況はどのようになるのでしょうか。実は、年間300万円の決済時点では、ANAカードとマリオットプレミアムの獲得マイル数は同じ「35,000マイル」で並びます。

マリオットのポイントをマイルに移行する際、最大の1.25%還元を得るためには「6万ポイント単位」で交換し、5,000マイルのボーナスを獲得する必要があります。年間300万円決済で獲得できるポイントは9万ポイントです。これを交換すると、最初の6万ポイントが25,000マイルに、残りの3万ポイントはボーナスが付かず10,000マイルとなり、合計35,000マイルに落ち着きます。

一方、ANAカード(基本還元率1%のカードを想定)で300万円を決済した場合、基本決済分として30,000マイルを獲得します。ここに、カード継続ボーナス等(5,000マイル)を加算すると、合計獲得マイルは35,000マイルとなります。獲得マイル数が同等になるのであれば、マイル還元率のカタログスペックだけを理由にマリオットプレミアムを選ぶ理由はあまりありません。

決済額300万〜400万円未満でANAカードへの集中が合理的な理由

獲得マイル数が同等になることは分かりました。では、カードの付帯特典を含めたトータルの価値ではどうでしょうか。

⚠ 注意点

決済分散による機会損失のリスク
年間の総決済額が300万円から400万円未満の場合、カードの使い分けには注意が必要です。使い方によっては、両方のカードのメリットを享受できなくなる機会損失が生じるリスクがあります。

マリオットプレミアムの最大の魅力である「無料宿泊特典(最大75,000ポイント分)」は、年間400万円以上の決済が条件です。ここで、年間の総決済額が350万円の人が、どちらかのカードに決済を集中させた場合の比較表を見てみましょう。

項目パターンA:ANAカードに350万円を集中パターンB:マリオットに350万円を集中
最終獲得マイル40,000マイル(3.5万+継続等5千)40,000マイル(実質還元率約1.14%)※
無料宿泊特典なしなし(400万円未満のため)
ラウンジ・ステータスANAラウンジ利用可・スタアラゴールド維持決済額不足によりラウンジ不可・スタアラシルバーへ降格
年会費負担約1.6万円(一般的なゴールド想定)82,500円
📝 補足

※マリオット決済で得られる105,000ポイントのうち、6万ポイントを25,000マイルに、残り4.5万ポイントを15,000マイルに交換した場合の合計。

マリオットに決済を集中させた場合でも獲得マイル数はANAカードと変わらず、無料宿泊も得られないため年会費82,500円の回収が難しくなります。さらに、ANAカードでの決済が300万円を下回ってしまうため、SFCはラウンジ利用不可の「LITE」へ降格してしまいます。

SFCフル特典の価値と国際線ANAラウンジの有料化

ここで、SFCフル特典を維持することによる「ANAラウンジ」の価値についても確認しておきます。

2025年秋以降、ANA国際線ラウンジを有料で事前予約した場合の料金は、1人あたり8,800円(当日カウンター申し込みは13,200円)となります。

📝 補足

※特典航空券や一部の割引運賃など、特定の予約クラスでは有料ラウンジサービス自体が申し込めない制限もあります。

搭乗クラスを問わずラウンジにアクセスできるSFCフル特典は、フライト前の安全な待機場所や仕事のスペースとして機能し、夫婦で年1回(往復)海外旅行で利用するだけでも、年間約35,200円(8,800円×2名×往復2回)の実利的な価値を生み出します。

決済額が400万円に届かないのであれば、年会費に対するリターンを考慮し、ANAカードに決済を集中させてSFCフル特典を維持する運用が理にかなっています。

決済額400万円以上における純利益比較。ラウンジか、高級ホテルか

年間の決済額が400万円を超えてくると、前提が大きく変わります。ここからはマリオットプレミアムが明確な強みを発揮し始めます。

年間400万円決済の条件をクリアすることで、「無料宿泊特典(最大75,000ポイント分)」が付与されます。時期やホテルによりますが、この75,000ポイントは実質的に7万円〜10万円相当の価値を持ちます。さらに、400万円の決済で得られる12万ポイントを6万ポイント単位で2回マイルに交換すれば、ボーナスを含めて50,000マイルを獲得できます。これはANAカードの45,000マイル(決済4万+ボーナス等5千)と比較して、5,000マイルのリードとなります。

ハワイ往復の燃油代はどう節約できるのか。仕組みと純利益の比較

また、マリオットプレミアムの強みとして「燃油サーチャージの削減」が挙げられます。マリオットのポイントは多くの航空会社のマイレージプログラムにポイントを変換できるというメリットにあります。例えばマリオットのポイントをユナイテッド航空の「マイレージプラス」に移行し、そこからANA便などのスターアライアンス特典航空券を発券すると、ユナイテッド航空のマイレージプログラムのルールが適用され、高額な燃油サーチャージを回避することができるのです。

では、この仕組みによって具体的にどれくらいのコスト削減になるのか試算してみます。

ANAマイルを使用して日本からハワイまでの特典航空券を発券する場合、原油価格や為替によって変動しますが、直近の目安として片道あたり約18,500円〜36,800円ほどの燃油サーチャージが発生します。仮に往復で1人あたり約3.7万円かかると想定した場合、夫婦2名でのハワイ旅行では約7.4万円もの現金手出しがマイルとは別に必要になります。

一方、マリオットからユナイテッド航空へポイントを移行して発券するルートを使えば、この約7.4万円という出費を大幅に抑えることが可能です。

これを踏まえ、両カードの年会費という確実なコストを差し引いた上で、年間400万円決済時の実利的な「純利益」を比較してみましょう。モデルケースとして、「夫婦で年に1回、ハワイへ旅行に行く」場合で算出します。

項目パターンA:ANAカードに400万円を集中パターンB:マリオットに400万円を集中
獲得マイル数45,000マイル(4万+継続等5千)50,000マイル(実質還元率1.25%)※1
主な特典(利益換算)ANAラウンジ等の利用(夫婦で年1回ハワイ往復想定:8,800円×4回分=35,200円相当)無料宿泊(最大75,000pt=約8万円相当)
+燃油代削減(夫婦ハワイ往復想定:約7.4万円)※2
=計約154,000円相当
ステータスANAラウンジ利用可・スタアラゴールド維持決済額不足によりラウンジ不可・スタアラシルバーへ降格
コスト(年会費)約16,500円(一般的なゴールド想定)82,500円
年会費考慮後の純利益約18,700円相当 + 45,000マイル約71,500円相当 + 50,000マイル
📝 補足

  • ※1 マリオットの12万ポイントを6万ポイント単位で2回マイルに交換(ボーナス含む)した場合。
  • ※2 ユナイテッド航空マイル経由で発券した場合の、夫婦2名分の燃油サーチャージ免除額の目安。本文で解説した通り、時期により変動します。

数字の面から比較すると、マリオットプレミアムによる燃油代削減と無料宿泊の利益が、SFCのラウンジ権を上回る結果となります。ただし、仮に単身で年間に海外出張を5往復(ラウンジ利用10回=88,000円相当)するようなライフスタイルの場合、ANAカードの純利益は71,500円となり、両者の実利は拮抗します。

マリオットプレミアムカードの価値については次の記事でも紹介しています。よろしかったら是非ご覧ください。

ご自身のフライト頻度と照らし合わせてみると、どちらが有利になるでしょうか。

結論:決済額帯に応じた合理的なカード選択の基準

これまでの比較を踏まえ、決済額帯とライフスタイルに応じたカード選択の基準を整理します。

【年間決済額300万〜400万円未満の場合】

  • マリオットの無料宿泊特典の条件(400万円)に到達しないため、決済を分散させることは年会費の機会損失に直結します。
  • ANAカードに決済を集中させ、運賃クラスに依存せず利用できるANAラウンジ利用権とスターアライアンス・ゴールド資格を、確実な「実利」として維持する運用が合理的と言えます。

【年間決済額400万円以上の場合】

  • 年会費コストを差し引いた純利益の比較になります。「搭乗クラスを問わないラウンジ利用と優先手荷物の実益」か、「高級ホテルの無料宿泊(75,000pt)と燃油代の削減効果」のどちらが上回るかを算出してみてください。
  • 年に1回程度の海外旅行で、燃油代の削減とホテルでの滞在価値を高く見積もるならば、マリオットプレミアムへの移行が合理的な選択肢となります。

ご自身の年間決済可能額と国際線の利用頻度を正確に把握し、年会費という確実なコストに対して、どちらのカードがよりご自身にフィットするか、ぜひ検討してみてください。

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